福祉職の就職・求人・採用状況
1987年に制定された「社会福祉士及び介護福祉士法」による国家資格誕生以来、年々資格取得者は増加し、福祉の職場では資格者有利の傾向にある。
バブル経済崩壊後、新卒者の就職は難しくなってきた。
また、経済よりも心の豊かさへの関心が高まり、介護問題を中心に高齢社会への対応の必要性が理解されてきた。
さらに、ボランティア活動を通して福祉分野へ関わる人が増えるなど、さまざまな要因が重なって、福祉分野で働きたい人の数はこのところ増加の一途をたどっている。
したがって、漠然と福祉の仕事につきたい、と考えていたり、福祉の仕事はだれでもできるなどと簡単に考えているとしたら、「かつてとは事情が違ってきている」ことをしっかり理解しなくてはいけないだろう。
では、福祉の仕事、希望の職種につくためにはどうしたらいいのだろうか。
一番確実なのは、希望する仕事が必要とする資格をとるための進学コースを確認し、基礎的知識と実習などを終了すること。
次に、アルバイトやボランティアなどの実体厳を含めて自分の適性を判断すること。
ここで重要なのは、資格や知識を習得しても、実際に福祉の職場で長く働き続けられるとは限らないという認識をもつこと。
「福祉は人なり」とよく言われるとおり、その人がもつ個性や感性が仕事と密接な関わりをもっているだけにまず、「実体験」することが大切だといえる。
次に主な福祉の仕事について、分野別に今日的傾向を説明してみたい。
高齢者の介護に関わる分野
まず、高齢者の介護に関わる仕事について。
「寮母」として働きたい場合、介護専門学校(昼間2年・夜間3年)を卒業することで介護福祉士の国家資格が取得できる。
そうしたら、基本的には学校が斡旋・紹介する求人先を丁寧に受験すること。
実習先での印象は採用の可否に大きく影響するので、実習は大切にすること。
傾向としては資格取得者で新卒が有利だ。
無資格でかつ他の職種から転職する人はどうなるかといえば、年齢やこれまでの社会人としての信頼性が大きく左右する。
寮母職の採用年齢は20〜30歳前後(地域によって多少異なる)と年々若くなっている。
パート職ではこの年齢の幅が少し広がる。
資格無しでも応募できるところはまだあるが、全般的には資格取得者が増加するなかで厳しくなる傾向にある。
ホームヘルパーとして働く場合は、採用される年齢は寮母職より少し広がって、40歳前後も可能性はあるが、2級以上のヘルパー研修を受けていることや、介護福祉士の資格を問われることが増えてきた。
ヘルパーの養成研修は都道府県、市区町村で実施している。
時間的余裕のある人は受講することをお勧めしたい。
なお、ヘルパーの採用形態は自治体によってまちまちである。
全国的に公務員としての採用は減少傾向で、社会福祉協議会職員としての採用(非常勤が多い)か福祉公社、在宅介護支援センターなどが採用している。
また、今後はシルバーサービス分野での採用も増加が予測される。
総じて、ヘルパーはパートか非常勤の登録制で、賃金保障が不安定な場合も多く、制度的課題を抱えている。
未経験者の人の就職は経済的事情が許すのなら、パート職としての採用まで広げて選択すれば、可能性は高まる。
また、事前に近くの福祉施設に出向いて見学やボランティアの受入れなどが可能かどうか確かめたり、施設の内容に直接触れる機会をつくる努力が必要だろう。
福祉施設は地元との結びつきを大切にするから、採用の際、通勤距離は近いことも有利に働く。
高齢者関係の施設の生活指導員になるのもなかなか難しい。
配置数も少なく、福祉系の4年制大学が増加していて希望者が急増しているからだ。
これに加え、多方面にわたる仕事の領域をこなせる人材を即戦力で採用したいと希望する施設が多いこと、
さらに公的介護保険などの動きを見込んで、社会福祉士の資格を条件として示す施設が増えている。
児童福祉に関わる分野
次に児童福祉に関わる分野だが、これは全国的に希望者が多く、その割に就職先は少なくきわめて難しい。
今日ではこの分野は、保母資格か児童指導員として任用される資格がないと採用されないと考えた方がよい。
代表格の保育所は、設置数が減少傾向にあり、また、労働条件が整備されて退職する人も減少(特に公立関係)し、定着率が高いので、採用枠が狭くなっている。
保母養成校(短大・大学含む)の新卒でも就職難が噴かれている。
養護施設については、保母か児童指導員として任用される資格をもっているこ福祉の仕事・資格・職場マルチガイドとで採用になるが、
この分野も希望者の方が採用先よりはるかに多く、就職難となっている。
一般に、広く募集要項が出回ることがなく、福祉系の学校の実習生やボランティア活動の実践者など、養護施設に常に何らかの関わりをもつ人のなかから採用される場合が多い。
このような現実のなかで、転職者の採用は一層きびしくなっている。
したがってとにかくまず、施設を実際に知る機会をつくること、次に資格をまだ取得していない人は必要な手だてをすること。
今後、地域子育て支援センターなど、新しい機能を持つ施設も増加する予定だが、採用条件が非常勤だったり、過去に児童関係の実務経験があるかなどを問われることもあり、
広く門戸が開かれるという期待はできない。
障貴著に関わる分野
障害者に関わる分野については、資格を問うところと人物本位のところとばらつきがある。
社会福祉主事任用資格、教職免許などが有利となることもあるが、福祉の資格のほかに自動車運転免許は必須条件。
障害者施設では、処遇の内容が施設によってそれぞれ違うので、事前見学をする必要があるだろう。
ほかの仕事からの転職希望者でも特別な技術(陶芸、コンピュータ、印刷、養鶏等)をもつ人は作業指導員への採用の可能性もある。
社会福祉協議会
特定の対象者に深く関わる仕事ではないが、社会福祉協議会職員は、近年希望者急増の人気職場となっている。
公務員に準ずる保障や日勤体制が基本であることなどに魅力があるようだが、実際の仕事内容は事務だけではない。
広く社会福祉の知識と実践力、企画力が要求される。
地域の社会福祉協議会はそれぞれ個性もあり、最近では福祉センターや高齢者サービスセンターなどの事業も多く運営しており、介護福祉士、社会福祉士の資格も生きてくる。
募集は不定期であり、かなり年度の後半(1月を越えてから)頃の募集も多く、新卒者は待ちきれないかもしれない。
以上が代表的職種の現況だが、各県の福祉人材センターのおこなうガイダンスや合同面接会の案内資料などを活用することも就職への足がかりとなる。
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