福祉の資格の意味
資格を中心に職種と職場、仕事内容について考えてみたい。
福祉の仕事の資格には国家資格と国が認めた事業にもとづく公的な資格などがある。
一般的に国家資格の方が公的な資格より仕事につくうえで有利といえるが、もちろん、資格をもっているからといって仕事につくことができるとは限らない。
近年ちょっとしたブームになった手話については、手話通訳士という公的な資格があるが、実際手話通訳士の資格を得ても職場は非常に限られている。
聴覚・言語障害者の施設でその資格を生かして生活指導員や職業・作業指導員として、あるいは各地のろうあ協会などで職員として働くという道はあるが、
手話通訳の仕事そのものを生業とするには時間がかかるだろう。
同じように人気のある仕事に盲導犬訓練士(盲導犬歩行指導員)があるが、実際に盲導犬訓練士への門戸はきわめて狭く一人前になるには時間もかかる。
また、盲導犬の訓練をおこなう法人には資格が与えられるが、盲導犬訓練士という個人資格はない。
このほか、健康運動指導士や福祉レクリエーション・ワーカーといった資格は、それだけで仕事に結びつくことはなく、
すでに関連の仕事についている人が専門性を広げるために取得していることがほとんどだ。
これらとは逆に、社会福祉士という国家資格は、さまざまな職種において求められたり、優遇される。
つまり、就職の際には有利と言える。
老人福祉施設や障害者施設の生活指導員に、また、患者の相談・援助にのる病院の医療ソーシャルワーカーや、地域福祉を盛り上げる社会福祉協議会の職員などにも社会福祉士の資格は役に立つ。
この点は、介護福祉士もおなじだ。
ところで、社会福祉士や介護福祉士のような資格を「名称独占」という。
これは、その資格をもっている人だけがその「名称」を用いることができるという法的規制を意味する。
これに対して業務独占という言葉があるが、これは医師や弁護士のように、名称をつかうことだけでなく、その資格をもっている人だけしかその「業務」ができない規制をいう。
したがって、資格をもっている人しか介護福祉士や社会福祉士を名乗ることはできないが、その資格がなくても介護福祉士や社会福祉士がするような業務はできる。(実際は資格保持者が徐々に増えているようだが。)
もうひとつ、資格と職種と職場について考えるうえで大切なことは、「公」と「民」のちがいである。
厚生省の官僚も福祉の仕事についているわけだが、官僚になるためにはどんな資格よりなによりまず、国家公務員にならなくてはならない。
非行のある少年の処遇にあたる保護観察司も法務省に所属する国家公務員である。
同じように、地域の福祉行政を担う福祉事務所でソーシャルワークの仕事をしたり児童福祉の中心機関である児童相談所で児童福祉司の職につき相談・援助の仕事にあたるためには、まず、公務員試験を受けて公務員になることが必要だ。
そのうえで、社会福祉主事任用資格などを得る可能性がでてくる。
こう考えると、公務員である職種や資格は、公務員試験の受験資格がその仕事につくための重要な条件になるのがわかる。
福祉の仕事に興味をもつ人でも、仕事へのアプローチはさまざまだろう。
ある人は資格取得を第一に考え、またある人は職種にこだわる。
施設や職場の種類から検討していく人もいるだろう。
しかし、欲をいうならば、流動的な仕事だけに、あらゆる角度から探ってみて全体像を把握することが大切だろう。
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